書店員向け情報 HELP
研究叢書546 風土記考説
- 初版年月日
- 2022年5月10日
- 書店発売日
- 2022年5月16日
- 登録日
- 2022年4月22日
- 最終更新日
- 2022年5月12日
紹介
風土記について、総論・常陸國風土記・出雲國風土記・播磨國風土記・逸文に章を分かって考究する。今後、文庫本と註解書の刊行を念頭に置いた、基礎作業的側面を有する論考集である。
目次
はじめに
凡例
第一章 風土記総論
第一節 漢文脈と倭文脈
一 はじめに―「古風土記」の文体―
二 「訓読」とは
三 風土記における文献性格の差異とその訓読
四 おわりに―訓読の功罪―
第二節 風土記の原形態について
一 はじめに―解式について―
二 播磨國・肥前國・豊後國の風土記写本について
三 三条西家本「播磨国風土記」
四 三條西家本『播磨國風土記』における「妋」字
五 猪熊本『肥前國風土記』
六 冷泉家本『豊後國風土記』
七 おわりに―逸文から集約できる原初形態―
第三節 原本系・副本系
一 はじめに―風土記副本―
二 『播磨國風土記』について
三 『常陸國風土記』について
四 「国名」を本文明示する逸文について
五 おわりに―原本系『風土記』と副本系『風土記』―
第四節 風土記本文の復元について
一 はじめに―風土記逸文研究の現在―
二 良質のテキスト
三 國史大系本『釋日本紀』に依拠することの問題点
四 『塵袋』の場合
五 残存本文における汚染
六 おわりに―相互に関連を有する拙稿について―
第五節 残存本文について
一 はじめに―「逸文」の概念規定と「残存本文」について―
二 『常陸國風土記』松下見林本について
三 『出雲國風土記』倉野本について
四 『播磨國風土記』三條西家本について
五 『肥前國風土記』猪熊本について
六 『豊後國風土記』冷泉家本について
七 おわりに―残存本文の価値―
第六節 風土記の文字世界―書評―
第七節 「伊香小江」と「竹生嶋」
一 はじめに―『帝王編年記』に載る該当本文―
二 古風土記ではない
三 「伊香刀美」について
四 A・B二文の点綴
五 「天羽衣」の語について
六 Cの「竹生嶋」条
七 おわりに―逸文ではない古伝―
第八節 古代の天女説話
一 はじめに―風土記の逸文について―
二 「伊香小江」と「竹生島」の話
三 「天の羽衣」という語
四 「領巾」について
五 おわりに―天女―
第二章 常陸國風土記考説
第一節 「俗」字と割注について
一 はじめに―四風土記における「俗」字―
二 『常陸國風土記』における「俗」字
三 『常陸國風土記』中の「俗」字と割注の機能
四 逸文中に見られる留意してよい事例
五 おわりに―漢文体作品として―
第二節 「ころもでひつ」考
一 はじめに―国号由来三条―
二 「衣袖漬つ」か「衣袖漬ちの國」か
三 常陸国について
四 三通りの「ヒタチ」の地名由来
五 おわりに―『萬葉集』の枕詞例について―
第三節 にひばりの をつくはのやま
一 はじめに―行方郡香澄里条「新治洲」―
二 「新治洲」の所在
三 山の行政所属
四 「新治のクニ」の「筑波山」
五 にひばりの をつくはのやま
六 おわりに―隠れ古伝―
第四節 道のくち・道のしり
一 はじめに―国名呼称として―
二 郡単位の事例
三 地点表示の用例
四 普通名詞の用法
五 『古事記』『日本書紀』の応神天皇条の事例
六 おわりに―広狭の三義―
第五節 『常陸國風土記』における地名掲出
一 はじめに―各国風土記における地名掲出―
二 『常陸國風土記』の概要
三 『常陸國風土記』における地名記載様式について
四 行方郡に省略が存在しない理由
五 おわりに―前任国司の指示―
第三章 出雲國風土記考説
第一節 副本としての『出雲國風土記』
一 はじめに―国府における副本について―
二 副本ということについて
三 「編纂序」について
四 「記」ということについて
五 「名号由来」条について
六 おわりに―「解」から「記」への変貌―
第二節 蓬左文庫本『出雲國風土記』について
一 はじめに―蓬左文庫本『出雲國風土記』―
二 親本のままに書写すること
三 「透き写し」に関わる問題
四 書写時誤写の修訂
五 頭書について
六 押紙と紙面の汚損
七 おわりに―尾張徳川藩の学問―
八 付言―蓬左文庫本『出雲國風土記』の価値―
第三節 『出雲國風土記』の会話文体
一 はじめに―会話の三様式―
二 双括式会話文体から
三 頭括式会話文体から
四 尾括式会話文体から
五 おわりに―『出雲國風土記』における会話の三様式のまとめ―
第四節 郷家における素稿の作成
一 はじめに―「郷家」について―
二 秋鹿郡恵曇郷に関わる記述
三 「改恵曇字叄」の解明
四 郡家における編集
五 おわりに―地域の文化―
第五節 現地産品と行政文書
一 はじめに―その多彩な産品―
二 「無魚」の意味
三 「有魚」について
四 「礒」が意味するもの
五 「鳥獣」記述について
六 ブランド産品
七 「土體豊沃」について
八 おわりに―行政文書による執筆―
第六節 「嚴堂」について
一 はじめに―「嚴堂」の用例―
二 諸注釈書から―「嚴堂」について―
三 諸注釈書から―「教堂」について―
四 「嚴堂」と「金堂」
五 「嚴堂・金堂」について
六 おわりに―「不立嚴堂」について―
第七節 仁多郡三澤郷条の複層的存在
一 はじめに―写本用字上の問題―
二 三澤郷条について
三 会話文体から見えてくること
四 「尒時」の使用から
五 原説話について
六 おわりに―『常陸國風土記』の一条―
第八節 佐太大神条をめぐって
一 はじめに―佐太大神縁起―
二 佐太大神誕生譚の展開
三 佐太御子社について
四 『出雲國風土記』の編纂
五 郡提出草稿の分断
六 おわりに―佐太大神縁起の移設―
第九節 『出雲國風土記鈔』の本文について
一 はじめに―『出雲國風土記鈔』とその本文―
二 『鈔本文』の年代について
三 補訂本文について
四 欠脱本文について
五 一行の字詰から
六 その他の日御碕本との関連事項について
七 おわりに―『鈔本文』の位置付け―
第一〇節 士清本『出雲國風土記』について
一 はじめに―士清本について―
二 「川」字と「田」字から
三 「蓬左文庫本――日御碕本」の独自本文から
四 「日御碕本」の独自本文から
五 留意される他の事項
六 『鈔本文』について
七 おわりに―「Y本」について―
第一一節 河村本『出雲國風土記』について
一 はじめに―河村秀穎旧蔵書―
二 不思議な「河村本」と「X本」
三 「河村本」における「日御碕本」の影
四 おわりに―他に留意される事項―
第四章 播磨國風土記考説
第一節 『播磨國風土記』の国府編集
一 はじめに―国府における編纂の手―
二 「尒時」と「於是」
三 おわりに―国庁での第一次編集と未精撰稿の問題―
第二節 異剣譚寸考
一 はじめに―釼について―
二 仲川里条の釼の話
三 層をなす時の列挙
四 時の観念―行政における文書管理―
五 おわりに―パーマー・エドウィーナ氏の発表など―
第五章 風土記逸文考説
第一節 風土記逸文の考究
一 はじめに―「逸文」とは―
二 「逸文」本文の採択
三 引用態度
四 文体的特質
五 西海道風土記における甲類乙類
六 おわりに―逸文に見られる独自性―
第二節 乙類風土記から甲類風土記へ
一 はじめに―乙類風土記について―
二 四字句が基本の文体―乙類風土記―
三 甲類風土記について
四 おわりに―再度の編纂に関する臆測―
第三節 「冬葍」の語について
一 はじめに―「瑦舸水門」条の「冬葍」の語―
二 諸注の情況
三 「冬葍」について
四 おわりに―漢方と果実―
第四節 「海臣之勲」寸攷
一 はじめに―「肥後国号」の本文―
二 「侶」か「臣」か
三 「海臣」について
四 おわりに―山の民と海の民―
第五節 「嶋子説話」―生成と展開―
一 はじめに―幻の原話―
二 嶼子説話における『別巻』について
三 逸文「筒川村」条の分析
三a 会話による叙述展開
三b 神仙小説としての位置
三c リアリティをもたせた表現
三d 一般的な説話性
三e 海洋文学としての性格
四 倭歌の増補について
五 高橋虫麻呂の作品について
六 おわりに―創作された漢文作品とその流伝―
第六節 二島と江川―紀行小文―
収録論文の原拠について
おわりに
書後に
要語索引
上記内容は本書刊行時のものです。