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異文化間教育の再創造
新たな視点・枠組みから問い直す
- 出版社在庫情報
- 不明
- 初版年月日
- 2026年8月25日
- 書店発売日
- 2026年9月4日
- 登録日
- 2026年8月18日
- 最終更新日
- 2026年8月28日
紹介
分断や不平等が顕在化する社会に向き合い、異文化間教育を前提から問い直し、新たな枠組みを再構築する。差異や文化を固定的な属性ではなく、人と人との関係や社会的実践のなかで生成される現象として捉える視点から、異文化間教育の理論と実践を捉え直す。
目次
まえがき[佐藤郡衛]
序章 異文化間教育の新たな創造をめざして[佐藤郡衛]
1節 異文化間教育研究の蓄積
2節 問い直しを迫る要因
3節 異文化間教育研究に必要な視点
4節 異文化間教育の研究・実践の課題
5節 本書の構成と各章の概要
第Ⅰ部 異文化間教育の方法論・枠組み・視点の問い直し
第1章 教育言語人類学からみた異文化間教育の研究方法論の問い直し[小林聡子]
1節 異文化間教育×「教育言語人類学」の方法論的課題
2節 もの・ことば・空間・時間で位置取る――子どもたちのリアリティを描くとは
3節 異文化間教育にて滲む多元的な社会的文化的規範
4節 これからの異文化間教育の方法論×「教育言語人類学」
第2章 海外子女教育研究から考える異文化間教育学の可能性――日本人学校で学ぶこと・学ばせること[渋谷真樹]
1節 異文化間教育学における海外子女教育研究の位置づけと課題
2節 グローバルに働く父親が語る日本人学校で学ぶこと・学ばせること
3節 「デフォルトとしての日本人学校」から「相対化される日本人学校」へ――移動の中でのよりよい教育を求めて
4節 海外子女教育研究の「移動と教育」研究への位置づけ――異文化間教育の刷新に向けて
第3章 生涯発達の視点から異文化間教育を問い直す[塘利枝子]
1節 異文化間教育における発達的視点の必要性
2節 各段階における発達の特徴と異文化間教育
3節 高齢期における異文化間教育の再検討
第Ⅱ部 異文化間教育は社会的・教育的課題にどう向き合うか
第4章 異文化間教育は差別・偏見にどう立ち向かうか[佐藤千瀬]
1節 偏見・差別とは
2節 前偏見の低減に向けて――視覚教材を通した差異と共通性の認識
3節 直接的な関わりを通した差異と共通性の認識
4節 これからの乳幼児期からの異文化間教育研究――前偏見・偏見・差別の低減に向けて
第5章 学校教育における共生の教育に向けて[川平英里]
1節 学校教育と共生の教育
2節 小学校の授業場面に生じる「対立」と共生
3節 変幻自在な児童たちの姿から共生につながる学びを問い直す
4節 学校が共生につながる学びの場となるために――今後の異文化間教育学に向けて
第6章 インクルーシブ教育の視点から異文化間教育の実践を問い直す[相磯友子]
1節 異文化間教育×インクルーシブ教育の概観と課題
2節 小学校の日本語教室における読み・書きに困難のある外国人児童への指導
3節 問い直し、生み出してきたこと
4節 異文化間教育とインクルーシブ教育の架橋
第7章 国際バカロレア導入による教師の教育文化の再構築――一条校の教師のオートエスノグラフィーを通して[高松美紀]
1節 IB導入の制度的展開と学校現場の葛藤
2節 教師の葛藤経験の過程を捉える方法としてのオートエスノグラフィー
3節 IBをめぐる記号の内化と実践による再編のプロセス
4節 生成し続ける文化経験の資源化と異文化間教育への示唆
第Ⅲ部 異文化間教育の実践から新たな視点を獲得する――言語の教育を通して
第8章 継承語教育は異文化間教育にどう貢献できるか[拝野寿美子]
1節 継承語とは何か
2節 継承語の価値――継承ポルトガル語の事例から
3節 継承語と地域社会
4節 異文化間教育学と継承語教育
第9章 日本語教育と異文化間教育をどう接合できるか[大舩ちさと]
1節 ひとが新たなことばを学ぶ意義の揺らぎ
2節 日本語教育カリキュラムの捉え直し事例
3節 日本語教育を通じてもたらされる学びと異文化間教育
4節 日本語教育と異文化間教育をどう接合できるか
第10章 複言語主義が日本の教育にもたらすもの[奥村三菜子]
1節 複言語主義と〈わたし語〉
2節 複言語主義が放つメッセージ
3節 複言語教育がもたらす問い
4節 言語教育をこえて
5節 「思考停止」を許さない複言語主義
終章 異文化間教育研究の今後の展望[佐藤郡衛・小林聡子]
1節 本書が提示する異文化間教育の理論的視点と枠組み
2節 今後の研究と実践に向けた課題
3節 異文化間教育研究の社会的課題と展望
あとがき[小林聡子]
前書きなど
(…前略…)
5節 本書の構成と各章の概要
こうした課題は、異文化間教育を抽象的な理念にとどめるのではなく、分断や不確実性の中にある現場において、研究と実践をいかに組み替えるかを問い直すものである。協働による知の生成、葛藤を前提とした関係性の構築、多層的な経験に向き合う方法論は、相互に結びつきながら、異文化間教育を現場で生かされる実践知へと展開していく。本書は、これらすべてを網羅的に扱うものではなく、各課題の一端を、具体的な論点と実践を通して検討する構成をとる。
本書は3部・10章から成り、各章は先に示した三つの課題と部分的に交差しながら議論を展開している。第Ⅰ部(第1~3章)では、異文化間教育研究における方法論や概念を問い直し、新たな研究枠組みを検討する。研究者の立場性への自覚、移動を前提とした教育経験への着目、生涯発達の視点の導入を手がかりに、従来の枠組みでは捉えきれなかった人々の日常世界を理解するための新たな視座を提示する。第Ⅱ部(第4~7章)では、「社会的・教育的課題にどう向き合うか」を主題とし、差別や偏見、共生、インクルーシブ教育、国際バカロレアといった学校および地域の実践に焦点を当てる。教育の場で生起する文化的葛藤や対立を、回避すべき問題としてではなく検討の契機として捉え直し、そこから新たな教育の可能性を考察する。第Ⅲ部(第8~10章)では、言語教育の実践を手がかりに、異文化間教育の新たな視点を検討する。継承語教育、日本語教育、複言語主義の実践を通して、多言語・多文化社会における学びの構造を明らかにするとともに、単一言語主義を前提としてきた教育のあり方を問い直す。(……)
(…後略…)
上記内容は本書刊行時のものです。
