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沖縄とセクシュアリティの社会学 玉城 福子(著) - 人文書院
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沖縄とセクシュアリティの社会学 (オキナワトセクシュアリティノシャカイガク) ポストコロニアル・フェミニズムから問い直す沖縄戦・米軍基地・観光 (ポストコロニアルフェミニズムカラトイナオスオキナワセンベイグンキチカンコウ)

社会科学
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発行:人文書院
四六判
縦194mm 横135mm 厚さ25mm
重さ 450g
308ページ
上製
価格 4,500円+税
ISBN
978-4-409-24145-5   COPY
ISBN 13
9784409241455   COPY
ISBN 10h
4-409-24145-1   COPY
ISBN 10
4409241451   COPY
出版者記号
409   COPY
Cコード
C3036  
3:専門 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2022年2月7日
書店発売日
登録日
2021年12月15日
最終更新日
2022年2月7日
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紹介

植民地主義と性差別主義の結びつき

戦後沖縄における性暴力や性売買をめぐる問題は、これまでフェミニズムの観点から様々に論じられてきた。しかし、広大な米軍基地を抱え、アメリカや日本との複雑な権力関係にさらされるこの地の問題を考えるためには、それだけでは不十分である。植民地主義と性差別主義が深く結びついているからだ。不可視化されてきたこの問題を分析するため、ポストコロニアル・フェミニズムの手法を本格的に社会学に導入し、女性を取り巻く言説を問い直す、刺激に満ちた気鋭の力作。

「ポストコロニアル・フェミニズムという視点は、重要でありながら、あるいは、重要であるからこそ隠され続けてきた植民地主義と性差別主義とのつながりを可視化することができる。ポストコロニアル・フェミニズムは、過去から現在へ続く不正義の発見を助ける眼鏡であると言える。」(本書より)

目次

第一部 問題構成と視角

序論
 第一節 問題の背景  
 第二節 問題の所在
 第三節 研究の概要  
  第一項 研究の目的  
  第二項 研究の対象・方法  
 第四節 本書の構成  

第一章 ポストコロニアル・フェミニズムから再考する沖縄研究 
 第一節 辺境としての沖縄
 第二節 沖縄研究におけるポストコロニアリズムの重要性
  第一項 ポストコロニアリズム
  第二項 ポストコロニアル・フェミニズム
  第三項 日本での展開
  第四項 沖縄研究の蓄積  
  第五項 沖縄研究とポストコロニアリズム
 第三節 沖縄研究におけるポストコロニアル・フェミニズム
  第一項 フェミニズムとジェンダー研究
  第二項 文学研究における成果と限界
  第三項 社会学におけるポストコロニアリズムの成果と限界
 第四節 ポストコロニアル・フェミニズムの可能性

第二部 沖縄戦と戦後史の歴史表象におけるセクシュアリティ

第二章 日本における沖縄に対する植民地主義――日本軍性奴隷制度を裁く女性国際戦犯法廷後の議論を手がかりに
 第一節 フェミニズムと植民地主義
 第二節 沖縄に関する植民地主義の議論の不在
 第三節 「日本人」慰安婦と「沖縄人」慰安婦をめぐる議論
  第一項 扱う資料
  第二項 同一性の強調と差異の強調
 第四節 沖縄に対する植民地主義
  第一項 沖縄人女性の経験の不可視化
  第二項 「歴史的ゲリマンダリング」による植民地主義の不可視化
  第三項 植民地主義の可視化の困難と可能性

第三章 沖縄戦の被害者をめぐる共感共苦の境界線――自治体史誌における「慰安婦」と「慰安所」の記述に着目して
 第一節 不可視化されてきた「慰安婦」
 第二節 軍(大和人)対住民(沖縄人)という枠組みの成果と限界
 第三節 自治体史誌における「慰安婦」・「慰安所」の記述の変遷
  第一項 自治体史誌について
  第二項 「慰安婦」・「慰安所」に関する記述の推移
  第三項 「慰安婦」の属性の描かれ方
  第四項 体験の細部が描かれない「慰安婦」
  第五項 被害の象徴としての「慰安所」
 第四節 被害者をめぐる共感共苦(コンパッション)の境界線の政治
  第一項 セクシュアリティの境界線にみるねじれ
  第二項 曖昧なエスニシティの境界線
 第五節 重なり合う排除

第四章 沖縄県平和祈念資料館展示改ざん事件再考――「慰安所」とAサインバーの展示に着目して
 第一節 展示改ざん事件の衝撃
 第二節 展示改ざん事件とは
  第一項 平和祈念資料館のリニューアルを取り巻く政治状況
  第二項 展示の変更・削除と「事件化」の過程
 第三節 沖縄戦の記憶と植民地主義
  第一項 軍隊(日本人)の視点に立つ住民(沖縄人)
  第二項 「共犯化」概念の導入
  第三項 フェミニズムからの介入
 第四節 県幹部の発言とセクシュアリティに関する展示の変更・削除
  第一項 着目するポイントと扱う資料
  第二項 県幹部らの発言
  第三項 改ざん事件への批判で見過ごされてきたセクシュアリティ
 第五節 改ざん事件再考から見えてくるもの
  第一項 変更・削除の技法とその効果
  第二項 共犯化と脱共犯化
 第六節 改ざんされる性をめぐる歴史

第三部 継続するセクシュアリティの利用と排除

第五章 在沖米軍基地をめぐる攻防――性暴力をめぐる表象に着目して  
 第一節 一九九五年の少女暴行事件の衝撃
 第二節 米兵による性暴力に関する諸研究
  第一項 性暴力の実態
  第二項 被害者の表象
 第三節 扱う資料・方法  
 第四節 性暴力関連社説の特徴と変化  
  第一項 一九九五年以前の性暴力関連社説
  第二項 一九九五年以降の性暴力関連社説数の概要
  第三項 加害者と被害者
  第四項 基地の問題としての性暴力事件
  第五項 フェミニスト的言説の増大
 第五節 反基地言説と性暴力
  第一項 ことを大きくする技術
  第二項 家父長的な側面
  第三項 抵抗言説としてのフェミニズム
 第六節 性差別との交渉

第六章 歓楽街環境浄化運動再考――排除される売春女性
 第一節 売買春をめぐる
 第二節 「復帰」後の歓楽街をめぐる研究の不在
  第一項 基地売春から観光売春へ
  第二項 売春女性へのまなざしと沖縄イメージの変遷
 第三節 真栄原新町の誕生から歓楽街浄化運動以前まで
 第四節 扱う資料
 第五節 宜野湾市真栄原新町の﹁浄化﹂を可能にしたもの
  第一項 歓楽街環境浄化運動を支えるロジック
  第二項 監視と取締りの相乗効果とその後の町作り
 第六節 歓楽街環境浄化運動から見るコロニアリズム
  第一項 変わる観光と売買春の関係
  第二項 コロニアルな町・宜野湾市
  第三項 配慮される住民/配慮されない売春女性
  第四項 女性の分断と性規範
 第七節 新たな社会の構想の回路

終章 ポストコロニアル・フェミニズムの射程  
 第一節 反復される排除と利用
 第二節 ポストコロニアル・フェミニズムが可視化したこと
  第一項 植民地主義と性差別
  第二項 ドメスティック・イデオロギー
  第三項 沈黙をめぐって
 第三節 先行研究への含意
 第四節 今後の課題

あとがき

参考文献

著者プロフィール

玉城 福子  (タマシロフクコ)  (

玉城福子(たましろ・ふくこ)
1985年那覇市生まれ。日本学術振興会特別研究員PD(沖縄国際大学)。特定非営利活動法人社会理論・動態研究所研究員。2015年大阪大学大学院人間科学研究科単位修得退学、2016年博士号(人間科学)取得。主な論文に「沖縄戦の犠牲者をめぐる共感共苦の境界線――自治体史誌における「慰安婦」と「慰安所」の記述に着目して」(『フォーラム現代社会学』第10号、2011年)「沖縄県平和祈年資料館展示改ざん事件の再考」(『女性・戦争・人権』第13号、2014年)、「環状島の複数性とポジショナリティ――在沖米軍基地の県外移設を求める主張をめぐって」(『理論と動態』第11号、2019年)などがある。

上記内容は本書刊行時のものです。