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出版者情報
「取り付け」の研究
平成金融危機から中央銀行デジタル通貨時代まで
- 書店発売日
- 2022年5月16日
- 登録日
- 2022年3月30日
- 最終更新日
- 2022年4月9日
紹介
取り付けのメカニズムと歴史を辿り、その防止策と将来への課題を追究。また、中銀デジタル通貨に「取り付け」は起こるのか検討する。
ルネサンス期のイタリアに始まり、昭和初期の金融恐慌、バブル期の木津信組、そして1997年11月の拓銀、山一證券の連続破綻による取り付けは記憶に新しい。本書は「取り付け」はなぜ起こるのか。「取り付け」を抑制する方策はあるのか。中銀デジタル通貨に「取り付け」は起こるのか。様々な角度から「取り付け」の実際に迫る。
目次
はじめに
第1章 銀行の特性
1.銀行の誕生
2.銀行の特性──銀行のバランスシートの特殊性
3.法的な面から見た貸出と預金の非対称性
4.破綻の波及──システミック・リスクの顕現化
5.金融危機に対処するための「発明」──「中央銀行」と「預金保険」
Box 1 中央銀行と通貨発行と国民国家
第2章 昭和金融恐慌時の取り付け
1.昭和金融恐慌の経緯
2.1927年4月の金融恐慌
3.台湾銀行問題──平成金融危機との相似
4.預金保険の有無──平成金融危機との相違
Box 2 昭和金融恐慌時の世論
第3章 平成金融危機時の取り付け
1.平成金融危機の背景
2.平成金融危機の推移
3.平成金融危機時の政策対応
4.平成金融危機時における取り付けの発生
5.システミック・リスクが顕現化した理由(1)──大銀行の破綻
6.システミック・リスクが顕現化した理由(2)──預金者の「閾値」を超える情報インパクトの発生
7.預金引き出し上限設定が強力な取り付け抑止策
第4章 リーマンショック時の“Dash For Cash”
1.リーマンショックの経緯
2.金融危機の背景にあるレギュラトリー・アビトラージ
3.当局の監督・検査能力
4.リーマンショックに対する政策対応
第5章 取り付けの多様性
1.豊川信金事件
2.佐賀銀行事件
3.木津信用組合の預金取り付けと破綻
4.英国,ノーザン・ロック銀行の取り付け
5.米国,インディマック銀行の取り付け
Box 3 金融機関破綻処理は極めて複雑な実務の集積である
6.取り付けの分類
第6章 中央銀行デジタル通貨と取り付け
1.通貨の本質
2.通貨の起源
3.通貨の変遷と技術革新
4.中央銀行紙幣の代替──通貨のデジタル化の現状
5.ブロックチェーンと仮想通貨
Box 4 暗号の歴史
6.リブラ(Libra)の可能性
7.中央銀行デジタル通貨の現在
8.中央銀行デジタル通貨の特徴とメリット
9.中央銀行デジタル通貨の留意点
Box 5 偽札の歴史
10.中央銀行デジタル通貨の実験
Box 6 中央銀行デジタル通貨の実験
Box 7 イタリアにおける現金決済に関する規制
11.中央銀行デジタル通貨時代の取り付け
Box 8 中央銀行デジタル通貨の残された課題
補 論 公的資金注入の評価と問題点
1.政策対応としての公的資金注入の評価
2.公的資金注入の問題点
3.「世論の怒り」を数量的に把握する試み
4.公的資金注入論と経営者責任追及論の整理
結語
参考文献
索引
上記内容は本書刊行時のものです。