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月経の人類学 杉田 映理(編集) - 世界思想社
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月経の人類学 (ゲッケイノジンルイガク) 女子生徒の「生理」と開発支援巻次:ジョシセイトノセイリトカイハツシエン

社会一般
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発行:世界思想社
A5判
縦210mm 横148mm 厚さ16mm
重さ 490g
304ページ
定価 3,500円+税
ISBN
978-4-7907-1768-3   COPY
ISBN 13
9784790717683   COPY
ISBN 10h
4-7907-1768-2   COPY
ISBN 10
4790717682   COPY
出版者記号
7907   COPY
Cコード
C1039  
1:教養 0:単行本 39:民族・風習
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2022年6月15日
書店発売日
登録日
2022年5月12日
最終更新日
2022年5月18日
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書評掲載情報

2022-08-13 朝日新聞  朝刊
評者: 磯野真穂(文化人類学者)
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紹介

女性の月経をめぐる問題は,発展途上国だけで起きている問題ではない。
わたしたちの身近なさまざまなところで、貧困に起因して生理用品が入手困難な状況があることに対して女性たちが声を上げている。特に “period poverty(生理の貧困)”という表現をイギリスのマスコミが用いて以来,状況を打開し“period equity(生理の平等化)”を求めるうごきが各地に広がっている。また、途上国と呼ばれる地域では,ジェンダー平等,女子教育の向上,衛生分野における女性配慮などの観点から月経対処は開発支援の対象とされ、地域に固有の文化的慣習や月経観は、世界的なうねりのなかで揺らいでいる。
 本書では,月経をめぐる国際開発の動向をまず整理し,各地のローカルな文脈と月経対処の現状を「今」同時期にとらえる。
さらに、各地のフィールドワークで得た情報をもとに現地の状況をていねいに分析し、各地域を比較することで、国際開発の現場での支援に対する示唆を抽出することを試みる。

■本書の構成
*第Ⅰ部
 国際開発において月経対処がなぜ注目を浴び,支援が必要だと認識されるようになったのかを詳述、具体的な支援の概要を示す。
第1章:「月経衛生対処」(MHM)の系譜と動向,途上国を対象に広がる「開発の波」の国際的な文脈を,第Ⅱ部の事例へと読み進めていただく前知識として。
第2章:月経の文化的側面の研究蓄積の多い文化人類学のなかで,月経についてどのような研究がこれまでなされてきたのかを振り返る。

*第Ⅱ部
 世界の各地域における月経をめぐるローカルな文脈と女子生徒たちの月経対処についての事例を描いていく。――太平洋に面し赤道の少し南側に位置するパプアニューギニア(第3章)から西へ向かってインドネシア(第4章),カンボジア(第5章),インド(第6章),インド洋を渡って東アフリカのケニアとウガンダ(第7章),さらにウガンダの別地域(第8章),大西洋を越えた中米のニカラグア(第9章),最後に太平洋を西へ日本(第10章)まで戻り,各地域の事例をみていく。

*第Ⅲ部
月経に関する開発支援を実施する際に地域の文脈で特に注意すべき点を,第2部の事例を考察し抽出する。また附録資料として,それらの視点で見た8か国の対象地域の概要をマトリックスにして掲載している。

*コラム
月経が関係する多様な側面について,広くトピックを集め,各章の間にはさんだ。多面的な現象である月経について,さまざまな角度から考えるための、きっかけとして。

目次

序 論 杉田映理

第I部 グローバルな開発課題となった月経
 第1章 国際開発の目標となった月経衛生対処―MHMとは 杉田映理
 第2章 国際開発の対象となった月経の文化人類学的課題 新本万里子

第Ⅱ部 各地域のローカルな文脈と月経対処
 第3章 パプアニューギニア焼畑農耕民アベラムの月経対処と開発支援のかたち 新本万里子
 第4章 インドネシア農村部の女子中学生はどのように月経対処しているのか
――学校教育とイスラーム規範に着目して 小國和子
 第5章 カンボジア農村社会に生きる女性と「沈黙」の意味
――月経の経験と実践に着目して 秋保さやか
 第6章 インドにおける月経の対処とその変化
――月経をめぐる開発と不浄観念のせめぎあい 菅野美佐子/松尾瑞穂
 第7章 東アフリカにおける月経観とセクシュアリティ
――ケニアとウガンダの事例から 椎野若菜/カルシガリラ,イアン
 第8章 ウガンダのMHM支援策は月経をめぐる文化を変化させたのか
――ウガンダ東部地域のローカルな実態に着目して 杉田映理
 第9章 「もうひとつのニカラグア」での月経対処調査から考える適切な支援のかたち 佐藤 峰
 第10章 日本の月経教育と女子中学生の月経事情 鈴木幸子

第Ⅲ部 MHM支援の実践にむけて
 第11章 ローカルな文脈から見える開発実践への示唆 杉田映理/新本万里子
附録資料――マトリックス

〈月経(生理)×文化人類学〉基本文献リスト
索  引
あとがき

【コラム】
①途上国のMHMプログラムの事例――ミャンマー国における月経教育の取り組みから 浅村里紗
②フィールドワーク中の月経対応:熱帯林編 四方 篝
③日本人女性にとっての月経 高尾美穂
④日本の生理用品 出野結香
⑤生理休暇制度と働く女性 小塩若菜
⑥女性の味方サニッコ――進化したサニタリーボックス 西島一男
⑦男子からみた月経,男子の月経教育と防災 アクロストン
⑧女性アスリートの月経 岡田千あき
⑨日本における生理の現状と今後の展望――「生理の貧困」を問い直す 塩野美里
⑩タブーへ挑戦する新産業,フェムテック概観 杉本亜美奈

著者プロフィール

杉田 映理  (スギタ エリ)  (編集

大阪大学人間科学研究科

新本 万里子  (シンモト マリコ)  (編集

広島市立大学国際学部

上記内容は本書刊行時のものです。