編集+@ということ
(株)パブラボ編集部の白岩俊明と申します。
社会人20年目、出版業界を離れた時期もありましたが、現在5社目です。
社長から、このたび版元日誌の機会をいただきましたので、恐るおそる書いています。
私の出版業界のスタートは、『週刊SPA!』『月刊PANJA』編集への憧れからでした。入社して約2か月の研修を終え配属されたのは、販売部、書店営業です。研修前までは「本はつくったら後は何とかなる」と勝手な思い込みをしていた身としては、委託販売、重版、品切れ重版未定、絶版、直納、仮伝、三延、客注、番線、帳合、赤伝、B本、再販制度などといった、出版流通の仕組みを勉強することから業界のイロハを知ったこと、多忙を極める書店員さんに対して、「1分でいいですから」「この本のポイントは●●です」などと、いかに短時間で端的にセールスポイントをアピールするかという営業活動は、強烈な経験として今も私の原点になっています。
さらに、倉庫の在庫管理の担当をすることで、決算時の棚卸しで返本のパレットの山を見るにつけ、「これを何も知らない編集に見せてやりたいものだ」と思ったこともありました。
やがて、3社目から念願の編集の仕事に携わることができましたが、今も継続している課題は「本(らしきもの)をつくることと、売れる本をつくることは違う」ということです。「売れる本と良い本は違う」という意見もあるかもしれませんが、売れるということは、より多くの読者に届いているということですから、少なくとも「買う」という行動に自ら動いた読者にとって「買うに値する本」=「読者にとって良い本」と考えてみれば、作り手にとって良い本よりは、少なくとも商業出版的に正しいと思います。
その売れる本をどうやってつくっていくか……? 答えは書店にあるのか? 新聞・雑誌にあるのか? TVにあるのか? ネットにあるのか? 電車の中にあるのか? いわゆる流行って? 今、話題になっていることって? 半年後に話題になることって? 話題になる人って?……考え出したら止まりません。
意外に、何となく散歩がてら歩いているときや、掃除をしているときなど、机に座っていないときのほうがアイデアを閃く、なんてこともありますし、夜寝る前に「これはいいアイデアだ」と思いついたことが、翌朝見返してみると「大したことないな」という経験もあります。毎日が新鮮というか、リセットというか、混沌としています。
さて、+@ということで現在取り組んでいるのは、会社的には「編集者の視点」というブログを当番制で行っていること、facebookを使って実名で発信すること、フリーディスカッション形式のトークライブに出演すること(編集者白岩俊明と学び合う、これからの出版の世界)、です。トークライブは、10月28日に第2回が開催されますが、第3回が行われるかは未定です。ただ、自分の編集した本について自らPRができること、そして読者の方々と生で触れる機会を得られることで、「この人面白い」「パブラボって面白い会社だね」と注目されるような活動をしていますが、それはまだ見城さんのおっしゃる「ヒットは地獄の始まり」を味わっていないからできることなのかもしれません。
けれど、「出版不況」と言われる中、出版社や書店が次々と淘汰されていく中で、徒手空拳で生き残っていくためには、キレイゴトでは済まないことだと実感している今日この頃でもあり、「恐い。恐いけど、飛び込め」と自らを鼓舞しています。
最後に、最新担当作のお知らせというか、宣伝です。
10月31日発売となりますタイトルは『行動承認』(正田佐与 著)
著者の正田さんは、「行動承認」というマネジメント手法を指導されることで、12年間「1位マネジャー」を輩出されています。
相手を褒めることは苦手な方でも、相手の行動を承認、認めることは誰でも簡単に実践できると思いますが、ご自身が「主婦のくせに」という偏見に晒されながらも、「リストラによる人繰りのきつさや、ひとり当たりの仕事量の増大によって目の回るような忙しさで苦しんでいるマネジャーの方々をひとりでも救いたい」という熱い思いが、彼女の原動力となっているようです。
私も正田さんのような「正義感」「使命」を抱いて、前に進みたいと思います。
長々と、失礼しました。