近刊の事前注文、取れていますか?
一昔前は、近刊書の事前注文が1000部あれば3000部くらいは配本可能でしたが、「お情け」程度の部数が上乗せとなることが弊社では当たり前となってきました。書店件数が14000件を割り込み、その書店も古書の他、文具やグッズなどの併売に活路を見いだそうとしています。当然のことながら書籍売場が縮小されるわけなので、見かけの書店件数以上に配本される確率は減っています。
編集部には「良い本」を作ってもらうとして、営業部では、まずは第一に事前予約部数を集めないと始まりません。(ちょっと悪しき慣習ですけど)そんなわけで、水曜社では書店への訪問営業以外でどのように事前部数を集めているかを少し紹介いたします。
1. FAXからDMへ。
今まで近刊案内はFAXをメインにしていましたが、昨年からDM発送を取り混ぜています。FAX送信は安価で楽なのですが、やはり送信中止依頼が多くなっていることが最大の理由です。現在の書店DMは年2〜3回。2ヶ月位先までの刊行予定が決まっていて、かつイチ押しの近刊がある時を狙います。既刊注文書も同封するので大体一通あたり6〜7枚でしょうか。カラーで見せたい本はチラシを印刷に出し、(安くなりましたね)FAXに比べ割高となる費用は既刊書の注文でカバーします。(当然ですが業者に出す費用はないので私の手作業です)
2. 図書館の事前注文
かなり大きい比率を占めるのが、図書館流通センターを始めとした公共図書館の事前注文です。版元ドットコムのシステムを利用する他に、TRCへは直接訪問して商品説明、他はメール・DMでご案内。多いときは初版部数の1割以上の合計数字が出ることもあるので、とにかく取りこぼしの無いように数字を確保しています。
3. 書店本部営業
基本的に書店本部営業はしませんが、1社だけ全店の部数取りまとめをお願いしています。やはり基幹店と言える書店には、ある程度の部数(決して無理はしませんが)を配本しないと読者の問い合わせに確実なご案内が出来ない、著者に対しても顔向けができない、となるので……。しかし本部サイドが入れる部数は店舗の担当者の希望部数より多くなりがちです。(私にも問題があるのですが)これに関して返品率が上がってしまうのは、今のところ「仕方ない」とある程度割り切っています。
4. ネット書店分の部数確保
当然のことながらネット書店の初回搬入の数字も無視できません。最近は著者がamazonの在庫や順位を気にされる場合が多いので特に気をつけています。初回部数を増やすにはまず事前予約が肝心です。これにはやはりTwitterが手軽で有効でしょう。商品によってはかなりの効果を発揮しますので、部数が集まったタイミングを見計らって取次と折衝。初回搬入部数が少なくて、発売直後にカート落ちになったりする事例は、かなり改善されました。(と言っても落ちるときは落ちますが)
以上が最近の取り組みです。5年前に比べても2〜3割の部数を多く確保出来るようになったと思います。また図書館、ネットなどの比率が多くなったため、返品率の改善にも効果がありました。
こうして書いてみると当たり前のことばかりで拍子抜けですが、結局は部数を伸ばすためには、こまめな取り組みが必要であり、王道はないと言うことですね。これからも新刊の配本に関して厳しさは増すでしょうし、これらの方法がいつまで効果的かわかりませんが、思いついたことを少しずつ試して行きたいと思っています。
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